わたしたちが日常で使う日本語の中には、「あれ、これって本当にこの表記で合ってるの?」と迷ってしまう言葉がたくさんあります。
その中でも、「見ずらい」と「見づらい」は、特に混同しやすい表現のひとつです。
このふたつの言葉は、発音は同じでも、意味や正しい書き方に違いがあります。
この記事では、「見ずらい」と「見づらい」の正誤や、使い分けのポイントをやさしく説明していきます。
また、「見にくい」との微妙なニュアンスの違いについても、例文を交えて丁寧に解説します。
読めばスッキリ理解できるように、わかりやすさを重視してまとめています。
「見ずらい」と「見づらい」…正しいのはどっち?
「見ずらい」と「見づらい」は、声に出して読むとどちらも同じ音に聞こえます。
ですが、書き言葉としては意味も正誤も異なります。
特にメールやSNS、ビジネス文書などでは、正しく使いたいものですね。
ここでは、それぞれの言葉が持つ違いについて詳しく説明していきます。
発音は同じでも意味は違う?
「見ずらい」と「見づらい」は、どちらも「みづらい」と発音されます。
しかし、実際に文字で表すと大きな違いが出てきます。
「見づらい」は、「見る」という動詞に「つらい(辛い)」という言葉がくっついた形です。
つまり、「見るのが困難である」「見ようとするのがつらい」といった意味になります。
一方、「見ずらい」という言葉は、文法的にも語源的にも正しい日本語ではありません。
そのため、「見ずらい」は誤用であり、使わないように気をつけましょう。
なぜ「見づらい」が正解なの?
「見づらい」は、「見る」+「づらい(辛い)」という組み合わせです。
この「づらい」は、「〜しにくい」「〜が難しい」という意味を持つ表現です。
そのため、「見づらい」は「見ることが難しい」という意味になります。
たとえば、「この文章、小さすぎて見づらいね」というように使われます。
漢字で書くと意味が明確になりますが、ひらがなだけで表記すると混乱しがちです。
ですが、言葉の成り立ちを知っていれば、どちらが正しいか判断しやすくなります。
なぜ「見ずらい」と書いてしまうの?
「見ずらい」と間違って書いてしまう理由はいくつかあります。
まず、日本語には「づ」と「ず」のように音が同じで紛らわしいものが多くあります。
そのため、耳で聞いた音だけを頼りにして書こうとすると、混同してしまうのです。
また、SNSやインターネットの普及により、誤った表記が簡単に広まることも影響しています。
正しい日本語を使うためには、言葉の成り立ちや文法の基本を理解することがとても大切です。
正確な知識があると、自然に正しい言葉を使えるようになります。
「見づらい」の例文で意味を理解しよう
「見づらい」が実際にどのような場面で使われているのか、例文で見てみましょう。
以下のような状況で「見づらい」という言葉はよく使われます。
シーン | 例文の内容 |
---|---|
古いパソコン | この古いパソコンは画面が暗くて文字が見づらいんだよね。 |
コピー資料 | コピーした資料の文字がかすれていて、読みづらいというか見づらい感じ。 |
視力の衰え | 最近、老眼が進んで細かい文字がすごく見づらくなってきたの。 |
会議室の照明 | 会議室がちょっと暗いせいで、プロジェクターのスライドが見づらかったよ。 |
「見づらい」と「見にくい」の違いとは?
「見づらい」と「見にくい」は、どちらも「見るのが困難」という意味を持っています。
しかし、それぞれ少しずつニュアンスに違いがあるのをご存知ですか?
正確に使い分けることで、文章や会話の表現力がぐっと上がります。
それぞれの違いについて、表にまとめてみましょう。
意味の違いと使い方の例
表現 | 意味のニュアンス | 使用例 |
---|---|---|
見づらい | 見るのに苦労する(視力や心理的な問題など) | スマホの画面が小さすぎて、通知が見づらいよ。 |
見にくい | 視界が悪い、はっきりと見えない(物理的な状況) | 霧が出ていて、向こうの建物が全然見にくいよ。 |
「見にくい」は昔からある言葉?
「見にくい」という言葉は、平安時代など昔の文献にも見られる歴史ある表現です。
一方で、「見づらい」という言葉は比較的新しい言い方で、明治時代以降に使われ始めました。
現代では、「見づらい」の方が口語やビジネスシーンでも広く使われるようになっています。
言葉は時代とともに少しずつ変化していくものです。
昔の言葉と今の言葉の違いを知ると、日本語への理解がより深まりますね。
「見づらい」が「見ずらい」と表記されてしまう背景とは?
今の日本語では、「見づらい」が正しい書き方とされています。
しかし、最近では「見ずらい」と書く人も増えているのが現状です。
どうしてこのようなまちがいが生まれるのでしょうか?
その答えは、日本語という言葉の特性と、変化のしかたにあります。
言葉が変わることは自然な流れ
言葉はいつも同じ形で残るわけではありません。
毎日の生活の中で使われることで、少しずつ変わっていきます。
昔は使われなかった言い方が、今では当たり前になっていることもたくさんあります。
たとえば、若い人がよく使う言葉やネットで広まった表現などは、その典型です。
「見ずらい」もその一つで、間違って使われ続けるうちに、まるで正しいように思われてしまっているのです。
けれど、今のところは「見づらい」が国語的には正しいとされています。
変化の例:「重複(じゅうふく)」と「ちょうふく」の読み方
日本語の変化を考えるとき、「重複(じゅうふく)」という言葉の例がとてもわかりやすいです。
この言葉は、もともと「ちょうふく」と読むのが正しいとされていました。
しかし、今では「じゅうふく」と読む人も多くなっています。
なぜこうしたことが起きるのでしょうか?
それは、正しい読み方よりも、実際に多く使われている読み方が広まってしまうことがあるからです。
つまり、人々の使い方が変わることで、それが言葉として定着してしまうのです。
このように、「見づらい」と「見ずらい」の違いも、将来どうなるかはまだ分かりません。
言葉は、人間といっしょに生きているものとも言えるのです。
だからこそ、今の時点での正しさを知っておくことが大切です。
「見ずらい」「見づらい」「見にくい」の違いをまとめてみよう
これらの言葉は、どれも「見ることがむずかしい」といった意味で使われます。
でも、それぞれの意味や使い方には細かいちがいがあります。
ここで、それぞれの表現のちがいをわかりやすく表でまとめてみましょう。
表現 | 正しい表記 | 意味 | 使用例 |
---|---|---|---|
見づらい | ○ | 見ることがつらい、目で見てわかりにくい | 字が小さすぎて見づらい文字ばかりです |
見ずらい | ×(誤用) | 「見づらい」のまちがった表記 | ×この絵は配色が見ずらいですね |
見にくい | ○ | 視覚だけでなく気持ちの面でも見づらい | あの場面は、心が痛くて見にくかったです |
見づらいと見ずらい、どっちが正解?誤用の背景も解説のまとめ
今の時点で、正しくて一般的な使い方は「見づらい」です。
「見ずらい」は、たしかによく見かけるようにはなってきましたが、今のところは正しい表記とは言えません。
けれども、言葉の世界では「よく使われているからこそ正しくなる」という現象もあります。
そのため、将来的に「見ずらい」も使われる場面が増えていく可能性はあります。
だからこそ、今は正しい知識を身につけておくことが大切です。
そして、言葉の変化にも柔軟に対応できるようにしておくとよいでしょう。
私たちが使う言葉は、ただのルールではなく、人の思いや時代の流れが反映されているものです。
これからも、そんな言葉の変化に目を向けていきたいですね。