ビジネスメールでは、原則としてひとつのテーマに絞って簡潔に書くことが推奨されています。
しかし、実務上は一通のメールで複数のトピックに触れざるを得ない場合も少なくありません。
その際、どのように話題を切り替えれば、相手に失礼なく、かつ分かりやすく情報を伝えることができるのでしょうか。
本記事では、複数テーマを一通のメールに盛り込む際のコツについて、具体例を交えて解説していきます。
ビジネスメールにおける「話は変わりますが」の使い方と注意点
ビジネスシーンでは、メールの文面から受ける印象がそのまま信頼感やビジネスマナーの評価につながることが多いため、言葉選びは慎重に行う必要があります。
特に、メール内で話題を切り替える際に使われる「話は変わりますが」という表現について、その適切な使い方を考えてみましょう。
「話は変わりますが」は問題ない?
「話は変わりますが」というフレーズは、対面での会話でもよく使用されるため、親しみやすさがあり、相手に違和感なく受け入れられるケースが多いです。
特に、カジュアルなやりとりが許される関係性であれば、大きな問題は生じにくいでしょう。
ただし、すべてのビジネスシーンに適しているわけではありません。
目上の人や、あまり親しくない取引先へのメールでは、カジュアルすぎる印象を与えるリスクがあります。
フォーマルさが求められる場面では、より丁寧な言い回しに置き換えることが推奨されます。
代替表現の提案
「話は変わりますが」よりもフォーマルな表現として、以下のような言い回しが考えられます。
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「次の議題に移らせていただきますが」
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「別の話題に触れさせていただきますが」
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「別件ですが」
これらのフレーズは、より敬意を感じさせる表現であり、相手との関係性を大切にしつつ話題を転換したい場面に適しています。
特に役職が上の相手や初めてやりとりをする相手には、できる限り丁寧な表現を心がけるのが賢明です。
ビジネスメールにおけるテーマ転換の技術
一通のメールで複数の話題を扱う場合、テーマ転換をどうスマートに行うかが重要なポイントになります。
ここでは、話題を自然に移行させる3つの主要な方法について詳しく紹介します。
接続詞を活用して自然な流れを作る
テーマを切り替える際に接続詞をうまく使うと、メール全体の流れが滑らかになります。
例えば、「さて」、「ところで」、「それでは」といった言葉を使えば、唐突な印象を与えずに話題を転換することが可能です。
また、「また」という接続詞も便利で、関連する話題を付け加える際によく用いられます。
例えば、「製品Aについてご説明しましたが、また、製品Bについてもご紹介させていただきます」といった形で使われます。
接続詞の使い方一つで、メールの読みやすさや印象が大きく変わるため、ぜひ意識的に活用していきましょう。
直接的なフレーズで素早く切り替え
「別件ですが」や「話は変わりますが」といった直接的な表現を使うのも有効な方法です。
この手法のメリットは、受け手が即座に「次のテーマに入る」ということを理解できる点にあります。
ただし、あまり頻繁に使用すると文面がぶつ切りな印象になるため、使用するタイミングや文脈には注意が必要です。
特に、複数の話題が関連性を持つ場合は、接続詞で滑らかにつなげた方が自然です。
メール冒頭でテーマを整理しておく
最初から複数のテーマに触れる予定であることが分かっている場合、メールの冒頭で「今回は二点についてご連絡いたします。」と宣言してしまうのもひとつの手です。
例えば、 「本日は、①新商品の発売日変更について、②来月の展示会出展について、ご案内いたします。」 といった具合に整理して記載しておけば、受け手も話題の切り替えに戸惑うことなく、スムーズに内容を理解できます。
この方法は、特に複数の重要な連絡事項を一通で済ませたい場合に非常に有効です。
話題を切り替えるときに押さえるべきポイント
メール内で話題を切り替える際は、相手に負担をかけず、自然に読ませる工夫が重要です。
まず、新しいテーマに移る前に、その意図や理由を明示しましょう。
突然話題を変えると相手が混乱するため、自然な流れを作ることが大切です。
さらに、現在の話題を一度きちんと締めくくってから、新たな話題に移行することもポイントです。
話題の区切りを明確にし、読み手がスムーズに読み進められる構成を心がけましょう。
メールを分けて話題変更する選択肢
ひとつのメールに複数の話題を盛り込むべきか、それとも別のメールを作成すべきか迷うこともあります。
話題同士の関連性が低かったり、内容が重い場合は、新しいメールを立ち上げたほうが良いでしょう。
この選択基準としては、「話題の関連度」や「受け手に求める対応の重要度」があります。
話題を明確に区分することで、受け手も整理しやすくなり、対応漏れを防ぐ効果も期待できます。
「話は変わりますが」のビジネスメールでの上品な使い方
「話は変わりますが」という表現は、ビジネスシーンでも丁寧に話題を切り替えるために広く使用されています。
他にも、下記のようなフレーズを使うことで、よりスマートな印象を与えることができます。
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さて、
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別件になりますが
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お話を変えさせていただきますが
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ここからは別のテーマについてお話ししますが
これらの言い回しを状況に応じて使い分けると、メールの流れが自然になります。
「話は変わりますが」を使ったビジネスメール例文
以下は、「話は変わりますが」を用いたビジネスメールの例です。
件名:プロジェクト進捗のご報告と新規提案について
○○様
いつもお世話になっております。
先日はプロジェクトの進行状況をご確認いただき、誠にありがとうございました。お送りした月次レポートでは、チーム全体で設定目標に対して着実に成果を上げていることがご確認いただけたかと存じます。
話は変わりますが、来月開始予定の新プロジェクトについて、ご提案したい点がございます。こちらは当社の市場拡大戦略に直結するものであり、貴重なご意見を事前に頂戴できれば幸いです。詳細につきましては、次回の定例会議でご説明させていただきたく存じます。
ご確認のほど、どうぞよろしくお願いいたします。
「話は変わりますが」って失礼?ビジネスメールでの使い方と他の表現のまとめ
ビジネスメール内で「話は変わりますが」という表現を使うこと自体、失礼にはあたりません。
むしろ、話題転換をスムーズに進めるための有効な手段です。
話題を変える際には次のポイントを意識しましょう。
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新しい話題の目的や意図を明確にする
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前の話題を適切に締める
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話題同士の関連性を意識する(または関連性がない場合は明確に示す)
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必要に応じて、新しいメールを作成する
これらを心がけることで、メールの読みやすさや理解度が向上し、受け手に対する配慮が行き届いた、プロフェッショナルなコミュニケーションが実現できます。